エンジンオーバーホール編

 

背景

この車,実は2年前の購入時,すでに102600km走行の車両でした.

それでも9年落ちなので,比較的新しい部類の車です.(うちの場合)

計算すると年間1万キロ以上走っているわけです.まあそれはいいんですが,どうも車検の時にしかオイル交換をしていなかったようです.

記録簿は車検時にオイル交換はしているものの,エンジンの汚れ具合からいって,2年間20000km以上交換していないようです.

なんせ,オイル焼けがひどいこと.少なくとも,30万キロ超えのコースターの比ではないです.

もともと,軽自動車は負荷も回転数も高いので乗用車よりこまめなメンテが必要なはずですが,,,

購入時より,VSV(純正ブーストコントローラ)が死んでいて,ブーストをかけるとハンチングが激しく,対策を試みましたが,

VSVを交換するより社外のブーストコントローラのほうが,ブーストの安定と燃費に貢献できるかと思い,社外に交換.

一応,これでブーストハンチングは収まりました.

が,3000rpm以上でブーストをかけるとしゃくるというか息継ぐというか吹けが悪いです.

ですので,まずは基本からということでプラグ交換,コイル交換,フロントO2センサ交換.

マフラーを社外に,エアクリもむき出しにとあらゆる方向で手を入れましたが,よくなることも悪くなることもなく,,,

結局,あまり回さず,ブーストも上げず.

もともとかわかりませんが,ブローバイも多く,インタークーラーまでオイルまみれだし,ブローオフからも盛大にオイルを噴射し,

エンジンルームはオイルでべたべた状態です.

さすがにどうしたものかと思っていたやさき,始動時に白煙を吹くようになりました.

まあ,典型的なオイル下がりのような症状です.

車検まで2か月くらいあるので,オモイオモイ腰を上げ,エンジン分解です.

 

作業開始!

これが,今まででかなり厳しい状況でした.整備性が悪くて,,,(ホンダよりましですが)

まず,通常の状態で,エンジンが下りない.

なぜなら,横置き用に設計したエンジンを無理やり縦置きにしたんでしょうね.

バルクヘッド側にメインハーネスが集合していて,コネクタが外れないし,分岐もない.

さらに,ミッションとブロック締結ボルトがバルクヘッドに食い込み,外せない.

整備書的には,配線は,車内のECUコネクタから切り離すとか,,,ありえない.

ミッションとブロック締結ボルトは,ミッションを斜めに下げて超ロングエクステで対応するように,,,まじで?

というわけで,無精者はどうしたかというと,車上でエンジン分解です.

上から順に外していき,ヘッドが降りれば,例の締結ボルトも容易にアクセスできるし,ECUも車においてこれるわけです.

ヘッドボルトも車上のほうが緩めやすいし,,,ということで,順番下し戦法で対応しました.

エンジンは,ばらばら状態で車両から分離したわけですが,オイルキャップから見ていたとおりというよりそれ以上のオイル焼けでした.

ピストンはカーボンまみれだし ,オイルリングはほぼ固着だし,,,だからブローバイも多いんでしょうけど,,,

 

 

 

 

 

 で,部品は全部分解し,いつもの洗浄液で洗浄です.

数日で新品同様です.ちょっと腐食もしちゃいますけど,,,

で,寸法を確認すると,よくできたエンジンでクランクもピストンもシリンダもすべて基準値内です.

ただ,ピストンリングとメタル類はそれなりに減っているようなので,全交換です.

まあ,普通ならそのまま組みなおすレベルでしょうが,,,

というわけで,一通り分解し,交換部品もわかったのですが,メタルの選定方法がわからない.

整備書には,ヘッドまでの記載はあるものの,腰下は記載なし.

よくよく調べると,腰下はエンジン整備書にのみ記載と のこと.

そういえば,トヨタもエンジン整備書やAT整備書があったわ.というわけで,エンジン整備書を探すものの,どこにもなし.

最終手段のディーラに連絡するも,まさかの販売不可.ずいぶんな対応だと思い,他のディーラに問い合わせ.

が,回答は,まさかの最初に連絡したディーラから.

回答は,売ってやってもいいけどCDRだから8万円用意しろ.とのこと.やくざだね.

こちらとしては,コピーもらうんじゃ手間もコピー代もかかるから,書籍でほしいって言っただけなんだけどね.

というわけで,8万円あったら,リビルトエンジン買いますよん.

もしくは,全種類のメタル買って合わせるわ.

でも,そんな資産家だったら,自分でエンジンOHしないわけですから ,下手に出て,上記の理由を述べ,丁重にコピーをお願いしました.

が,該当部分(メタル選定のとこ)だけで,3000円だと.

まあ,8万円に比べれば,やむなし.ということで,お願いしました.この回答が木曜日.

翌週から2週間出張なので,その間は部品発注作業ができない.なので,どうしても週末には部品発注したいわけです.

で,木曜の昼に回答があったので,コピーをしてください.夕方までに! とお願いしたものの,忙しいからいやだと.

では,いつごろできますか?と聞いたところ,まさかの放置プレー.

ってか,平日できなければ,週末はできるはずね〜し.

しびれを切らし,いつも車検をお願いしているところに,かくかく云々とお願いしてみると快く承諾してくれました.

とはいえ,コピーをFAXしてもらえたのは,月曜の朝.すでに出張に出ちゃってるし,,,

その旨伝えて,金曜の夜にコピーをいただきました.コピーしてくれたのは別のディーラでした.

なんかあったら,今後は,そちらのディーラにお世話になります.

というわけで,1週間遅れで部品発注.まあ,出張なので,翌週に届けばいいかと思っていたのですが,,,,

翌週末でも返事なし.2週間たっても連絡がないので,催促してみると,まだ発注してません.

挙句に部品番号の桁数が変わってるとのこと.それだけでもがっくりなのに,納期がまさかの2週間.

それもスラストベアリング(ダイハツ呼称だとスラストワッシャ.クランクにつけるやつね.)が欠品ってことは ,

こいつがないとエンジン組めないわけですよん.

まあ,とりあえず,それ以外の部品が来るまで待つこと1週間.待つだけではもったいないので,できる作業は進めます.

というわけで,ブロック上面とヘッド下面はオイルストーンで磨きましたが,微妙に巣があるので,いつものところで面研しました.

ひずみもほとんどなく,製品レベルは上出来です.

性能に関係ないところは完全に削りっぱなしだし,バリを減らそうという努力(コスト)もかけないようです.

まあ,軽自動車のエンジンなんて,コスト最優先なんでしょうから,やむなしですがね.

でも,ヘッドもブロックもクランクも素手で触っているとぱっくりいけそうです.

さすがに,皮手が切れた時点で,かなり注意深く作業しましたが,,,

一応,洗浄作業後に,リュータで面取り,バリ取り,ポート研磨を実施しました.

ヘッドなんかの水ラインは直径で数mm大きくなります.そのくらいのバリです.

ブロックは鋳鉄なので,リュータでは時間がかかるので,サンダーでバリ取りです.そのくらいのレベルのバリです.

鉄の部分や変色部分はいつものモノタロウ耐熱塗料でシルバーに塗装しました.

カムカバーは,マイチューニングの証として,レッド(ボディ同色)に塗りました.

といっても,カムカバーもアルミ製ですが,バリや巣が多くて,,,一生懸命磨き上げてからの塗装です.

普通のボディ用なので,そのうち,ナチュラル結晶塗装風になりますが.

 

とりあえず,できるところから

結局,私の力の及ばない範囲で1か月遅れ.8月初めに始めたのに,このときすでに9月末.車検は10月末.残り1か月.

でも,スラストベアリングが届くのは,さらに1週間後.素人のウィークエンドメカニックには厳しいスケジュールです.

まあ,届いた部品(スラストベアリング以外すべて)で,組めるところまで,組みます.

エンジン部品だけではないので,,,,

今回は,1112万キロのお疲れ様を込めているので,ブレーキもフルオーバーホイールです.

フロントのキャリパーのオーバーホールついでに,アストロの耐熱塗料で塗装しました.

さらに,ブレーキホースも交換.

リアはホイールシリンダの ゴムのみ交換で合わせて,ブレーキホースも交換しました.

 

足回りは,中古のショックがオイル漏れ+機能していないようなので,モンローのリフトアップ用に交換しました.

フロントは若干車高があがったようです.

さらに,スタビのブッシュも全交換しました.

基本的に状態はそんなに悲観するほどでもないですが,せっかくなんで,新車相当にリフレッシュです.

  


というわけで,足回りやブレーキ関係もすっきりしてもまだ部品が来ない状況ですので,

エンジンの組み立てに入りますが,なんといっても,スラストベアリングが来ないので,ピストンを組んだり,ヘッドを組んだります.

ピストンは,リングは全交換です.純正は2種類のサプライヤがあります が,今回はついていたものではなく,リケンにしました.

純正相当品が入手できたので,幾分安く済みました.

ヘッド関係では,当初のOHの理由の一つがオイル下がりなので,ステムシールは交換ですが,純正は高いので,社外品にしました.

だいぶクオリティが異なりますが,問題はないはずです.一番大きいのは,外れ防止のリングが入っているところですね.

なので,純正は引っ張ってもなかなか取れません.

排気バルブもだいぶ座も荒れていたし,熱劣化していたので,6本とも交換しました.排気バルブは高いですが,やむなしです.

きれいに摺合せをして,隙間調整をして,万全です.

 

 

 

 

スラストはあきらめ,エンジン組み立て

それでも,部品が届かない(想定納期を超え)ので,やむなく,エンジンを組み始めました.

もともと,スラストはそんなに減っていないし,もともとほかのメタルも状態はそんなに悪くなかったので,,,

せっかくなんで,交換したかっただけです.

というわけで,3連休にエンジン組み立てです.

さすがに,マニュアルに不備(フライホイールの締め付けトルクがない)などはあるものの,順調に腰下は組みあがり,

ほとんど減っていないクラッチは再利用で完成です.ウォータポンプとオイルポンプも再利用です.

 


で,取り外しの逆の順序なので,腰下だけ,ミッションと合体です.

いつものようにさくっと入りました.さすがにしょっちゅうやっているし,いろいろ,経験していますので,,,

で,新品のエンジンマウントとミッションマウントにして,腰下完了です.

 

 

忘れ物をしないように,取り付けられる部品はつけていきます.

で,ヘッドを載せ,ホース類の取り回しを確認し,インマニ,エキマニを取り付けます.

で,カムシャフトを取り付け,プーリーを取り付けます.

いわゆるハイメカツイカムなので,プ-リーは一個なんですが,変なスペーサを発見.ねじPCDがカムシャフトとは違う.

かなりPCDが小さい.よくよく見ると,クランクとフライホイールの間に挟まるスペーサです.

 

 

まさかのふりだし

あまりのショックにしばし呆然.

そりゃ,クラッチのフィーリングが変わるわけだ.

でも,干渉とかなければそれでもいいかも,と慰めてみるも,そういうわけにもいかず.

とりあえず,ふて寝して,どうするかを整備書と相談です.

結局,ミッションおろしでは,ミッションオイルを抜くことになる模様.エンジン側はまだ液ものは入れていない.

ヘッドはつけちゃったんで,アクセスは悪いけど,高級なワコーズのミッションオイルを抜くよりはましかと.

で,エンジンを下ろすことに決定.

で翌日,早朝よりエンジン下ろし.まあ,一度やってますので,そんなに時間もかからず,午前中には,スペーサも入れ,復旧です.

  

 

どうにか夕方には,昨日の夕方よりは進み,あと一息で始動までこぎつけそうな雰囲気.

で,3連休最終日,マフラーやら何やら付属品をつけ,最終確認をし,油脂類を投入し,エンジン始動です.

まあ,初爆こそ,遅いものの無事始動.

特に不具合も漏れもないようです.

 

 

 

で,試運転と行きたいところですが,クラッチを踏むと異音が,,,

明らかにレリーズベアリングです.

暇な時間が多かったので,クラッチハウジングを高圧洗浄したのが悪かったらしい.

その後,レリーズが回らなくなっていたんですが,取り外して,ゴリゴリやったら,回るし,シャーシャーいうけど,そんなもんかと.

グリスを入れたくてもシールドベアリングなので,どうしようもなく,そのまま組んだわけですが,明らかに音が出ています.

クラッチ踏んだまま,回転を上げたりして,グリスが溶け出してこないかと期待したものの,アウト.

最後のあがきとして,クラッチワイヤーのところから,スプレーグリスを入れてみるものの,シールドベアリングなので,当然効果はなし.

でも,車検はすぐなので,そのまま,車検へ.当然,修理屋さんにはその旨お伝えして,通してもらいました.

 

3度目の正直?

で,車検上がりの週末に,ミッション下ろして,クラッチ,カバー,レリーズの交換です.

レリーズだけ交換すればいいのですが,まったく同じものでないとカバーの傷と合わないとまた不具合の元になりそうなので,

やむなくカバーも交換です.

そうなると,当然,3点セットの方が安くなるので,全交換です.

クラッチなんて,あと1mm以上残っているのでほとんど使っていないのに,,,

 

 

クラッチレバー固定の針金やレリーズ固定の針金も微妙に減っていたので,これらも新品交換です.

まあ,結局,2度目のクラッチ開帳となったわけです.

で,さすがに,エンジン側を下すのは,油脂の関係で厳しいので,整備書通り,ミッション下ろしにチャレンジ.

まあ,2度もエンジン下ろしているので,気分を変えるためにも,,,

ということで,ミッションオイルを抜きたくないので,

オイル漏れないように蓋を買 ったり,クラッチセンターだしツールを今更購入してみたり準備万端です.

ですが,作業を始めて,いいタイミングで納品されず.

やむなく,蓋なしでミッション下ろしにチャレンジです.

プロペラシャフト抜いてもオイルが漏れてこないので,これはラッキーと作業を進めるものの,

ミッションを傾けてねじを外すところで若干漏れが,,,この程度ならどうにかなりそう.

で,フロントのプロペラシャフトはデフ側で外し,シャフトは残したままです.

なぜなら,かなり低い位置にシャフトがあるので,どう見てもオイルが漏れるからです.

で,どうにかオイルもほとんど漏れずにミッション下ろしが完了.

 

調子に乗ったところで,いつもの失敗.ミッションのバランスが悪く,ジャッキから転倒.

そんなに重くないので,車の下で載せなおすことは可能でしたが,折角頑張って維持したミッションオイルが,全部でちゃいました.

がっくり.

そうこうしているうちに,蓋が届くという,ありがちパターンです.

でも,発注しておいたクラッチの針金はまだ届かず.いつもなら,昼くらいに届くので,それをあてにして作業を開始したのですが,,,

残念.


というわけで,オイルも漏れて,部品待ちとなってしまったので,オイルを買いに行くことに.

高いワコーズのミッションオイルは4300円です.ふ〜.

で,オイルを買って帰ったところで,部品到着.

まだ,6時前だったので,夕食までに,ミッションをドッキングしようかと.が,結局,2時間頑張ったけど,結合できず,あきらめました.

翌日,朝から,結合作業です.

昨晩は,インプットシャフトを入れてから,位置決めピンを入れるまでにミッションが動いてしまい,クラッチ板がずれて,

インプットシャフトが奥まで入らない現象だったようです.

なので,クラッチをせっかく買った芯出しツールを使ってみるものの,全然芯が出ない.

意味ないじゃん.というわけで,いつもの目視のみでの芯出しです.

やはり,位置決めピンが合わなくなってしまうので,長めのボルトを通して,ゆっくり引き寄せる作戦+クランク回し攻撃で,結合完了.

どうにか午前中にミッションが車に戻りました.

 

で,ペラシャつけて,ミッションオイル入れて,,,

かなりきれいに抜けたらしく,2Lでは完全に足りない様子.

でも.数100ccのために4000円以上出せないので,手元にあったカストロのMTFSを入れておきました.結局,500ccは入らず.

せっかくなので,レリーズをばらしてみました.やっぱり,玉のところに腐食(さび?)が出てしまっていたようです.

 

というわけで,短期間にテリオスキッドマイスターになりました.

もう,怖いものはないですね.っていうか,もう整備するところないし,,,

結局のところ,低回転でのトルク感はかなり増えました.

でも,当初の吹けない病は完治せず.やっぱ,燃料足りないのかも,,,

ということで,在庫していたR-FITを入れるしかないですね.