エンジンオーバーホール編

 


彼是、19年と30万キロを走行したご老体ですが、さすがに、だましだましで長距離走行をやるわけにもいかず、、

というか、この辺がこの車の寿命のようです。そのことが、わかっていれば、捨てたのに、、、

昨年から、マフラー交換、エアサススリーブ交換、エアコン修理と来て、引き返せないわけで、、

残りは、エンジンとATくらいかと思われるところです。

スタータとオルタは車を購入後、新品交換しているので、

怪しいのはエンジン内部とインジェクター、ポンプ、タービンでしょうね。

そもそも、タービンがそんなに持つとも思えず、、、

で、現在の症状はオイル食いです。

まあ、買ったときから、オイル食いはあったんですが、1000km/Lではオイルを持って出かけなければならず。

まあ、アクセルオフから再加速でオイルを噴く状況なので、オイル下がりが一番の原因ぽいです。

でも、タービンだったら、交換簡単だし、、、と思いながら、エンジンを開けることにしました。

できればGW前に終わらせたいところです。

というわけで、4月に入り本格的に作業に入ります。

1か月ありますので、ダメ部品を見つけてから、部品発注となります。


準備編

 事前に購入した部品     :なし

 購入した工具                :なし

 借りてきた工具             :ノズルテスター

というわけで、さすがに、エンジンばらしも数台目になると、大型ディーゼルとは言え、特別なものは必要ないようです。

ほとんど、整備工場並みってなところでしょうか?


作業編

できればタービンであることを祈りながら、コースターのばらしを始めました。 

ヘッドカバーまで開帳し、分かったことは、 

・ブローバイはほとんどない。 
・タービンからオイルを吹いていない。 
・カムシャフトなどは、とってもきれい 
・インマニとヘッドの間にオイル滲み 

で、オイル滲みはあるものの、大量に漏れているような話ではないし、オイルを燃していることは確実な様子です。 



 残念ながら、タービンではないので、本格的にばらしていくことになりました。

どうにか、インマニを外し、インジェクターまで外せました。 

結局のところ、30万キロですが、よく整備の行き届いたエンジンであることが分かりました。 

診断では、オイル下がりのようです。たぶん、オイル下がりの吹き返しで、ヘッドからインマニにかけて、べたべたです。 
  
なので、カチカチのインマニガスケット(ゴムです)からオイルが出ていたんですかね〜。 


インジェクターもすすけているものの、状態はまずまずです。洗浄とメンテすれば、元気になりそうです。 

とりあえず、ヘッドを剥ぐために、エキマニ&タービン外しをしますが、さびと固着でどうなることやら、、、

フロントパイプを外すことにします。 が、エアインパクトではびくともせず。 

当然、素手では、無理。 やむなく、電動インパクトを使いました。こちらのインパクトはコースターのホイール外しようです。 

これで、どうにか緩みましたが、スタッドもナットも死亡です。 

タイミングベルト外して、エキマニ&タービン外して、ヘッド外して、御開帳です。 

トヨタは品質がいいようで、エキマニのボルトも1本以外、固着なしです。素晴らしい。



ピストン、ヘッドともに、きれいなもんです。 ものすごい煤を想像していたのですが、ガソリン車並みです。 

いつも、高負荷走行だからか、、、 

 




というわけで、結果的には、ここまで御開帳する必要はなかったようです。 

まあ、せっかくなので、インジェクタとバルブを清掃して、ステムシールと水ホースを交換することにします。 



バルブを外して、カーボンを削って、ヘッドのポートも磨いて、、、と、組立の準備に入ります。 

ヘッド本体の漬け置き洗浄もしたかったんですが、6気筒のでかいヘッドが入るような桶が見つからず、、、 

ついでに、バルブが減っています。 

いままで、程度の悪いエンジンでも10万キロちょっとくらいだったので、気にならなかったのですが、

30万キロだと、バルブも減るんですね。 

基準値以下っぽい雰囲気です。でも、気筒あたり3000円くらいなので、非常にリーズナブルですね。 

このコストを考えると、コースターって、でかい割に部品は乗用車料金なので、いい車なのかも、、、 


高級な収納ケースを購入しました。 ここに重たいヘッドを押し込み、洗浄液を投入。 

さらに、バルブを再研磨。段付きは、カーボンによるものもあり、幾分、よくなりました。 

ついでに、インジェクターも分解し、ノズルの洗浄をしました。 詰まりを期待してましたが、きれいに噴射してました。 

ここからも、とっても、程度の良いエンジンであることがよくわかりました。 


残念なのは、手間をかけても、オイル漏れ以外によくなるところがないってことですね。 

燃費が上がったり、パワーアップするなら、やった甲斐もあるんですが、、、 


その後も、細かい部品を外して、洗って、色塗って、、、 

バルブの擦り合わせもしましたが、排気の方が納得いかず。 

たぶん、大丈夫なんでしょうが、気になるとどうしようもない性分なので、いつもの某所でバルブを削ってもらいました。 

昼休みにちょこっとお邪魔して、排気だけ6本削ってもらいました。 

焼きも入っているので、だいぶ固かったようで、一部、ビビりが出てしまいました。 

で、家に帰って、再度、擦り合わせをすると、ビビった部分が、なかなか面が出ず、難儀しましたが、

天下の電動工具なので、1時間ほどで、すべてのバルブが納得いくまで擦り合わせ完了です。 




これで、ヘッドを乗せる準備は完了です。 

そこで、振動も気になっていたので、エンジンマウント、ミッションマウント交換です。 

で、マウントが外れている間に、ブロックを塗装します。 

鉄ヘッド、鉄ブロックなので、錆も出てますので、、、ほんとは、さび落としとか、外せるものは外したかったのですが、

なにぶん、ポンプが外れず、プーラーが壊れる始末です。

やむなく、高圧洗浄だけやって、いつものモノタロウの耐熱スプレーで塗装です。

映えるようにシルバーです。結構、品質がいいので、お気に入りです。 


エンジンマウントのステーなどを塗装して、エンジン&ミッションマウント組み付けです。 




次に、インマニ、エキマニを取り付ける準備ですが、エキマニ側のスタッドとナットはすべて新品に交換しますが、

熱の入っていないインマニ側は再利用です。

が、外す時にスタッドごと抜けてしまいました。どうにかして、分解しようかと思ったのですが、

インパクトやダブルナットではびくともせず。さすが、緩み止めナットです。なので、ボルトとして再利用しました。


どうにか、ほとんどの部品が洗浄、塗装が完了したので、本格的に復帰作業です。

さすがに、ヘッドを一人で車内に持ち込むことができないので、助っ人を使って、ヘッドを載せました。

ちなみに、ヘッドガスケットの両面に液ガスを薄く塗っておきます。

ほんとは、いけないことですが、冷却水とオイルの混入予防です。

まあ、自分で組めば自己責任ですので、、、

ヘッドボルト締めもディーゼルだからか、塑性域締めです。 

700kgのあと、90度2回です。

さすがに、700kgまでは普通にいけますが、

塑性域に入ると、スピンナーでは締めきれず、鉄パイプ延長でかろうじて締められました。

この時期なのに、大汗かいて、無事終了です。 

まあ、エンジンでかいんで、ヘッドボルトだけでも30本くらいあるので、、、




ヘッドさえ乗れば、あとは、勢いだけです。

最後の要として、洗浄したインジェクターのテストです。

ノズルテスターを借りてきて、チェックしますが、インジェクター6本中、4本は漏れ漏れ。 

6本中6本が一次も二次も規定圧達成前におもらし。 

要は、全滅? 

まあ、今まで普通に走っていたので、組み直しただけで、全滅ってのも考えにくいので、テスターのメーターがずれているのかと。

規定180〜190kg/cm2に対して、150〜160kg/cm2くらいです。


とりあえず、勝手な妄想として、おもらしなので、圧上がらず。

 というわけで、もう一回全部ばらして、禁断のノズル擦り合わせでもしてみようかと。 

整備書曰く、本来、即交換ですが、、、1セット6000円ほどするので、ぞっとします。 



気晴らしにカムを乗せて、インジェクターを擦りあわせです。 

漏れは、ほぼ止まりましたが、開弁圧は変わらず。

リターンをふさがないからか、ホントに足りないのか、ノズルの締め付けが甘いのか、、、 

ノズルの締め付けを規定より強くすると、噴霧の形状が変わります。 まあ、今まで大丈夫だったのだから、、、

そのまま組むことに。


その前に、燃料ホースを交換して、インマニ付けました。

燃料ホースもカチカチでしたが漏れないところが、トヨタ品質でしょうかね? 

で、グローを取り付け、インジェクターも付けようかと思ったのですが、錆がひどいのが気になって、色塗りをします。 

その間、冷却ファンなども塗装しつつ、空き時間にエキマニ取り付けです。

思ったより簡単についたので、ターボ配管などをし、マフラーも取り付けました。 


その後、タイベル付けたり補機つけたり、とりあえず、一通り、部品をつけ終わりました。 

最後に、インジェクターを取り付け、エンジン始動です。 

かかりましたが、5気筒か4気筒です。 しばらくかけましたが、全然、ダメでした。 

そうはいってもしょうがないので、ラジエータ付けたり、水入れたり、、、 

一応、ほぼ完成です。 

エンジンルームもきれいになって、ご満悦ですが、これでは走れないです。 



まずは、不具合対策で、インジェクターを外して、チェックです。 

1、2、5番に火が入っていないようです。チェックするものの、特段不具合もなく、、、

何度か組みばらしをして、再度、取り付け。 

が、結果、変わらず。 

なので、再度、取り外し、点いている気筒と点いていない気筒のインジェクターを交換しました。 

結果、やはり、インジェクター3本に火が入らないようです。 今までとは、音が異なるので、点いている気筒が変わったようです。

ですので、インジェクター不良ということです。噴霧自体は悪くないようなので、圧力の問題かと。 

まあ、もともと、規定圧力前におもらししていたわけですが、

この辺での10kg/cm2の差で、点くか点かないかの境目のようです。 

となると、調整しなければならないですが、

純正シムを買うにも納期も値段も分からんし、マイクロメータがないと、シムすら買えず。 

とりあえず、適当なシムでも買って、状況を確認することに、、、 


とりあえず、0.1mm
のシムを入れると30kg/cm2ほど圧力が上がるようなので、

模型用のシムを購入して、本体とシムの間に入れてみました。

その結果、想定通りの開弁圧となり、すべてのインジェクターが180〜190kg/cm2になりました。

ご満悦のまま、エンジンに組み付け試運転。


が、何も変わらず。

それもよくよく確認するとやはり1番、5番がだめのようです。

ってことは、噴射順が1-5-4-3-2-6なので、御休み時間がながいようです。

逆に、1-5が逆になっているから、火がつかないのではないか?

と、前にも勘ぐりましたが、今回は、すべての配管を外して、チェックしましたが、合ってました。

ということは、ポンプかエンジン本体なので、おおごとです。


やむなく、意気消沈のまま、エンジンばらしに入ります。

で、ふと、我に帰りました。

燃料は噴いている(白煙がすごいし、インジェクターもびたびた)し、噴射時期もあっている。

となると、圧縮していないんじゃないか?バルブのすり合わせに失敗したか?

でも、5番あたりで、排気管でインジェクターの噴霧の音が聞こえます。

ってことは、すり合わせのレベルではなく、排気バルブが閉まってない?

そういえば、排気バルブは某所でかなり削ってもらったわけで、削るとバルブはカムの方に寄ります。

そうなるとカムとのクリアランスが小さくなります。

下手すると、バルブが開きっ放し?

で、カムカバーを外し、シックネスゲージで測定しようと思ったら、測定できない。

ええ、カムがバルブを押しているので、シックネスゲージは入りません。

あまりいじっていない、インテークバルブは規定値以下ではあるものの、クリアランスはあります。


そりゃ、バルブがあいてりゃ、火がつくわけないがな、、、

これで、原因もわかり一件落着!


と思いきや、バルブのシムを抜くには、特殊工具がいります。

ない場合は、カムシャフトを外します。カムを外すためには、タイミングベルトも外すことになるので、ラジエータも外します。

てことは、大嫌いなLLC抜き取りが必要です。

特殊工具は、数万円だろうし、GW中はトヨタもお休みだし、、、

汎用工具を探すすと、ネット上では在庫切れではあるものの、1500円程度で購入できる模様。

近所の工具屋さんに電話してみると在庫あり!

とりあえず、とっておいてもらいます。これで、少し、光が見えてきました。

で、夕方から、工具を買い出しに行き、意気揚々と作業を続けますが、トヨタ用でありながら、合わない。

そりゃ、ガソリン車を想定して作っているんだろうから、、、


でも、工具をばらして、みるとかろうじて使えそう。

さらに、ロックツールは全く使えないものの、自作できそう。

ということで、1500円のうち、500円分くらい使って、どうにか、シム交換ができそうです。

で、シムのクリアランスとシムの厚さから、購入すべきシムを選定します。

できれば、あちこち入れ替えて、使い回せればラッキーですが、、、

で、ここで問題。


排気は、すでにカムがバルブを押しているので、クリアランスは測れない。

なので、今ある中で一番薄いシムを探し、排気のシムと入れ替える。

そうして、クリアランスが出れば、シムの選定は可能。

が、問題は、一番薄いシムに交換するするってことは、一瞬ですが、2枚ぬきをする必要があります。 


 スペアタイヤを使わないで、ジャッキ1個でタイヤのローテーションするようなもんです。 

 物理的に不可能なので、もう1個、特殊工具をこしらえました。要はジャッキ2台にしたわけです。 


 一応、すべて測定した結果、火がつかなかった気筒は0.2mmくらい押しっぱなしだったようです。 


 なので、規定値の0.35mmのクリアランスにするためには、今より0.5〜0.6mmくらい薄いシムにするわけですが、

残念ながら、そんなに薄いシムの設定がないという現実。要は、設定がないってことはバルブ削りすぎってことでしょうね。 

 最薄のシムを買っても0.2mmくらいのクリアランスなので、バルブは閉まりますが、

高温下でバルブが伸びた時、どうなるのか? 

 まあ、とりあえず、考えてもしょうがないので、最薄シムを購入して、無理そうなら、少し削ってみようかと、、、 



いつもより、時間がかかりましたが、無事、シムが納入され、組みつけに入ります。

今度は、在庫がたくさんなので、地道に交換です。

一度に6枚しか交換できないので、交換しては、クランク回して、もう6枚ということで、

全部交換して、何度かクランクを回して、シムの間の油を抜きます。

再度、クリアランス測定ですが、一部、気に食わないため、入れ替えをしましたが、

吸気側は狙った数値に収まりました。

排気側も狙った数値ではありますが、基準値マイナス0.05mmです。これでいいのか悪いのか?

といっても、簡単な話ではなく、上記懸案事項通り、1気筒だけはクリアランスが0.2mmしか取れなかったので、削りました。

手では、いつまでたっても削れないので、電動工具を使いました。

なので、時間は短縮できましたが、だいぶ勾配がついてしまいました。どうにもならないので、そのまま、取り付けました。

まあ、どちらにしろ、不具合があれば、ヘッドおろしてバルブ交換だし、、、

という作業をしての0.05mmマイナスです。


その後、新品のはずのインジェクターのガスケットも中古品になってしまったので、再度、新品で組み直しです。

で、一通り、組みあがったので、エンジン始動です。

が、うんともすんとも(悲) 

 バッテリ上がってました。 


 で、バッテリチャージャーかけながらも、スタータを回すものの、 

燃料が来るまで時間がかかるので、すぐにバッテリが撃沈。 


 やむなく、サブバッテリから、ブースターケーブルで、チャージしながら、スタータを回すことしばし。 

なんとなく不整脈気味ですが、いままでとは違う感じで始動しました。 

排ガス的には6気筒で運転しているようですが、なにぶん、排気管に未燃の燃料がたらふくあるので、白煙は止まらず。 

そのうち、時間切れで本日の作業終了。 

とりあえず、エンジンはかかりました。 


翌日、再度エンジンを始動し、水温を上げ、エンジンをリミットまで回し、様子見です。

そのうち、排気管の燃料も燃え、きれいな排ガスになりました。

多少アイドルがラフな気もしますが、、、

とりあえず、無事、完成です。