エンジンオーバーホール編 Part2

 

数年前にヘッドのOHとインジェクターOHもしたのですが,アイドルの乱れとブローバイの量が尋常ではなく,,,

すでに,31万kmなので,フルOHの時期カモしれませんけど.

アイドル乱れの原因は噴射ポンプか,圧縮漏れかと思われますが,一番怪しいのは,圧縮漏れでブローバイが多いのでは?と思ったわけです.


が,とりあえず,手っ取り早いのは,燃料添加剤を入れ,噴射ポンプをだましてみたものの,効果は大きくなく.

ということで,圧縮漏れが濃厚となり,ワコーズのエンジンオイル添加剤を入れるも,まさかの逆効果.

2000kmで2L以上オイル燃やしちゃいました.(ブローバイ経由ですが)

で,正攻法の圧縮漏れ対策ではダメだということは,リング固着か,ほんとにシリンダかピストンか,,,


というわけで,リング固着であってほしいという願いで,さらに,ケミカル作戦です.

高級なワコーズの添加剤を使って2000kmしか走ってないのに,オイル交換して,リング固着解消用のバーダルのリングイーズを投入しました.

このリングイーズは遅行性なので,3000km走らないと効果がでません.

うちの場合,年間走行距離相当となりますが,,,

というわけで,1週間,通勤&出張で使用しました.

アイドルしていると今までも,大量のブローバイでマフラーから白煙を吐くわけですが,その比ではなく,完全に壊れている車の白煙でした.

ちなみに,ブローバイがあまりにも多いので,ブローバイクーラ付オイルキャッチタンクの改良版を搭載したんですがね.


添加剤が何かしらの効果を示したことは確かですが,

ワコーズの添加剤で埋めたリング隙間を,バーダルがきれいにしてくれたらしく,エンジンオーバーホール決定です.


アイドル時は完全吹き抜けみたいなので,クランクオイルシールやレベルゲージからオイルを吹いてしまいました.

というわけで,先日より,準備に取り掛かりました.部品だけで,30万円くらいはかかりそう.

ポンプとタービン,ボーリングなどもといわれると,50万円でも足りない様子.

冬眠の予定が,永眠になりそう.


そんな悠長なことも言ってられないので,作業開始です.



準備編

 事前に購入した工具     :

・ピストンリングコンプレッサ(ピストン径100mmに対応するため)
・スナップリングプライヤー(安物ではスナップリングの力でひずむため)

というわけで、さすがに、エンジンばらしも数台目になると、大型ディーゼルとは言え、特別なものは必要ないようです。

ほとんど、整備工場並みってなところでしょうか?


作業編

ヘッド降ろしまでは経験済みなどでサクサクですが,どうやってブロックを車体から引き抜くかが問題です.

できるだけ車体を上げるしかないわけですが,乗用車とは違い重いですからね〜.

明らかに不自然な傷が入っていますね。腰下までばらすしかないです。

 

 



腰下分解まで完了したところ,エンジン不調の原因はわかりました。

 1番のコンプレッションリング2本バラバラ

 2番のトップリング2分割

 5番のトップリング2分割

ということで,まさかの3気筒お釈迦でした。

2番は,シリンダに傷もあり,子メタルもお釈迦でした。

1番は,コンプレッションリングが機能していないので,オイルリングまでカーボンが堆積しているくらいなので,シリンダにも偏摩耗がみられ.

ただ,そのほかは目視では問題なさそう。

 

メタルとピストンリング,OHキット,前回だました排気バルブ交換と噴射ポンプOHが最低限必要.

タービンは大丈夫そうです.


結局,ブロックも車体から取り外し,各部,寸法測定.

メタルは交換なのでどうでもいいのですが,シャフト側もすべて基準値内.

ピストンは若干減っているようですが,許容範囲かと.ただ,1番のシリンダはいかんともしがたい.

下の方はOkだけど,上の方は基準値ギリギリ.

さすがトヨタ.30万kmじゃへこたれないですね.

悩んだ挙句,オーバーサイズを入れることに.一応,まだ,0.5mmのオーバーサイズが入手可能です.

納期2か月といわれまして,まさかの2か月放置.

エンジンスタンドもこの鉄ブロックの重さでかなり曲がってます。




これで,予算オーバー確定ですが,ある意味総額の目途も立ったので,噴射ポンプのオーバーホールもお願いすることにしました.

某ランクルショップにお願いして,ちゃんとOHしてもらおうかと思ったのですが,

部品の納期が遅れていることと,多忙であることから,こちらの日程感で調整できず,近場のOH仲介屋にお願いしました.

費用が安いので心配ですが,現物修理なので,最悪,そのままでしょうから,いいかなと思い.

現状,何か不具合があるわけでもないのですが,30万km超えているので,予防的にですから.

とはいえ,特に部品の欠品や交換部品が増えるわけではなく,標準料金で仕上がりました.納期も数日でした.

 


ピストンが届き,ボーリングをする必要がありますが,さすがに自分ではできないんので,

ダイヤモンドエンジニアリングさんにお願いしました.町の内燃機屋さんとはちがう雰囲気できれいな工場です.

みなさん,気さくな方で,,,

基準値でボーリングしてもらいましたが,1番の偏摩耗は非常に深く,基準値ギリギリまでボーリングしてもらいましたが,

完全に消えることはありませんでした.とはいえ,ブロック交換とかスリーブ入れるほどでもないので,このままです.




話は,戻りますが,ピストン待ちとボーリング待ちの間に各部洗浄やさび落とし等々をします.

タービンは,大丈夫かと思ったのですが,シャフトにがたがあると言われれば,がたがあるようなので,修理が必要です.

新品は20万円超。リビルトでも10万円超。

なので,全バラにして,ヤフオクでOHキットを購入してOH.まあ,使えた部品は半分くらいですが,,,



エキマニやハウジングなどはいつものサンポール漬けです.

表面のさびはなくなり,地肌になります.その後,モノタロウの耐熱塗装です.

エアクリボックスも腐食が激しかったので,

車両から取り外し,サンポール漬けし,塗装剥がしして,サフェからのウレタンで真っ白塗装にしました.

オイルパンもシャーシブラックの厚塗りで汚かったので,エアクリ同等の塗装をしました.



バキュームポンプも全ばらして,Oリング交換とブレードの寸法確認して,すべてOkでした.

ホント,消耗ゴム部品以外は素晴らしい耐久性です.20年30万kmですから,,,

というわけで,ほかにもオイルクーラーやオイルポンプ,ウォータポンプなども洗浄し,準備を整えます.



で,ボーリングも終わり,いつものように洗浄液での脱脂からの高圧洗浄できれいに洗い,モノタロウの耐熱塗装です.

新品の親メタルを装着し,クランクを取り付け.

ただでさえ重いブロックが激重になり,エンジンスタンドが悲鳴を上げてます.

さらに,コンロッドも角度締めなので,エンジンスタンド上で作業します.

オーバーサイズピストンを廃油ストーブで温め,コンロッド装着です.

一応,80℃と決められているので,放射温度計で80℃になっていることを確認してから組みました.

オーバーサイズピストンにワコーズのASPを塗りたぐり,ピストンリングを装着.

新品の子メタルを取り付け,ピストンリングコンプレッサを使って,シリンダに挿入.

6気筒あるとクランクの向きも微妙に変えないといけないので,かなり面倒ですが,,,,

というわけで,ピストンの取付も完了し,オイルクーラも取付,最低限の腰下の組み付けは終了したので,あとは車両に戻すだけです.

 


ヘッドも合わせて,きれいにしていますが,洗浄液のせいか,虫食いが出てきてしまったので,面研に出します.

いつものところで面研しましたが,幾分ひずんでいるらしく,0.1mmの研磨代となりました.

ヘッド面もきれいになったので,いつものように洗浄して,組み付けに入ります.

前回インテーク側はほとんどOkでしたが,エキゾースト側は最も厚いシムを入れて,ぎりぎりでしたので,

今回は,エキゾーストバルブも4本新品に交換しました.

専用にシムを買直すのも面倒なので,今あるシムでやりくりします.結局,あちこち入れ替え,1時間でどうにか基準値内に入るように調整できました.

 


これで,おおよそエンジン搭載の準備が完了しました.残りは,車両側でエンジンを載せてしまうとできないことを実施しておきます.

まずは,フレーム内側などをシャシブラック塗装です.在庫品の水性塗料です.



その後は,エアクリ取付とステアリングロッド類のボールジョイントのブーツ交換です.

キャブオーバータイプなので,乗用車とは異なり,たくさんリンクがあります.

1か所だけボールジョイントが外れず難儀しました.

結局,外れるところから切り離し,車両から取り出すものの,ボールジョイントセパレータが曲がってしまいます.

やむなく,大きな車にも使えるやつを購入しましたが,これも壊れました.

油圧プレスも使用しましたが,プレスの台が壊れそうです.

当然,焼くなり煮るなりの対応は実施していますが,どうやっても外れません.

やむなく,ボールジョイントを切りました.

当然ながら,焼きが入っているので,鋸歯は2本お釈迦.

さらにドリルでもんで,ロッドから外すわけですが,うちにあったドリルすべてをお釈迦にして,どうにか外すことができました.

錆かと思っていましたが,残念ながら,さびではなく,たぶんオーバートルクで噛んでしまっていたようです.

まあ,おかげで作業時間は1.5日.さらに,ロッド交換となりましたので,1.3万円の出費がかさみました.

納期がこれまた3週間と現行車としては結構かかるもので,,,時間がかかります.


というわけで,ロッドは入手できなくとも,エンジン搭載はOKそうなので,エンジン搭載に入ります.

まあ,当然ながら,外したように,つければいいだけ.

が,エンジンとミッションの合体作業は,そうそう簡単ではなく,,,まあ,MT車よりは,全然楽でしたが,,,

実際のところ,高さと水平を合わせれば,ノックピンでほぼほぼすんなり入りました.

通常は,ここで,1本ボルトなりナットなりを刺しておいてから,微調整と隙間埋めをするわけですが,あまりにもすんなり入ってしまい,

かなり気をよくして,そのまま,微調整をしてしまいまいました.

エンジンの下は,ジャッキオンジャッキ状態だったのですが,ちょっと揺すったら,ばらんすが崩れ,ジャッキが転倒.

少なくとも,手で持てる重さではなく,,,それも,ノックピンが1本引っかかっているから,斜めに宙吊りです.

まあ,ここまで来ると,落とせばエンジンはお釈迦なわけで,心は折れまくりですが,30分の格闘の末,ペンキ剥げくらいで,定位置に収めることができました.

このまま,組んでよいのか悩ましいとことではありますが,要所には大きな傷はないようなので,良しとします.

で,腰下が定位置に入れば,エンジンマウントをつければ,もう安心です.

 



その後は,段取り(つける順番を間違えると,2度手間になるので)をよく考えながら,作業を進めます.

とはいえ,オイルポンプつけたり,ウォータポンプつけたり,噴射ポンプつけたり,下の方から順々に組んでいきます.

で,ヘッドを載せて,,,

ヘッドガスケットは,格安オーバーホールキットのものを使います.

純正ヘッドガスケットの値段で,エンジンオーバーホールキットが買えるので,コストパフォーマンスは高いのですが,

どの部品も品質が悪く使い物になりません.

でも,勿体なので,ヘッドガスケットだけ使用します.まあ,これで一応もとはとれたわけですから,,,

純正とは比べ物にならないクオリティですが,まあ,いつものように液体ガスケット併用(オイル,水ラインは特に)すれば大丈夫でしょう.


ヘッド載せからは,過去の経験通りに作業を進めればいいわけです.

で,ある程度,組んだところでオイルパンを装着です.よくあるパターンで,組み付け時にナットを落とし,オイルパンをはぐるというやつです.

なので,組むだけ組んでからのオイルパン装着です.




さらに,せっかく,高くジャッキアップされているし,ATFも抜いているので,ATFのストレーナも交換することにしました.

ATのオイルパンを外し,ストレーナを外し,組み付けるだけです.とはいえ,オイルパンの磁石にはたんまり付着物がありました.

まあ,20年30万kmやっていないんでしょうかね?

ここも,きれいになり,オイルパンも塗装し,組み付けです.

 

 



で,大幅に端折りますが,順調に組み終わり,エンジン始動です.

無事エンジン始動です.

しばし,アイドルして,エンジンを停止すると激しいバックファイヤの音が,,,ディーゼルなので,そんなことはないはずですが,,,

その後,かけなおしても,同じ症状が出るわけではないので,気にしないことにしました.

で,ステアリングのロッドが届くまでにいろいろチェックなどをするわけですが,ラジエータのサブタンクは運転席ドアを開けないと補水できないので,

この前の始動時の時は,空でしたので,足しておこうかと.

が,なぜか,いっぱいです.

行きはよいよい帰りはしない.のか?

まあ,保水するまでもなかったので,そのまま放置です.一応,ラジエータの方には水を足しておきました.


で,無理言って,GW前にステアリングロッドを納品してもらい,試運転します.

特に問題もなく,タービンのオーバーホールのおかげか,過給の立ち上がりもよく,快適です.

アイドリングも800rpmで安定しますし,今までと違い極低速のトルクも上がりました.

でも,聞いたことのない音が聞こえます.

まあ,冷却水のエア抜きがしきれていないためかと思い,放置.

で,試運転がてら,会社帰りに筑波山へ.のぼりも調子よく,いい感じです.相変わらず,聞いたこともない音が聞こえますが,,,

で,エア抜きがうまくいかないのか,リザーブタンクから,水を吹いています.


で,さらに試運転などをしていても,リザーブタンクから水吹きは止まりません.


まあ,ラジエータキャップが寿命かもしれないので,交換して様子を見ることにしました.

サブタンクから水を吹く割に,ラジエータの水は少なめで,,,


まあ,あまり気にせず,試運転旅行で,足尾まで.行きは無駄に高速に乗り,高速時の不具合確認です.

わざわざ、遠回りをして、圏央道から、東北道、宇都宮道路で湯滝まで。

日光宇都宮道路で、料金所のストップ&ゴーで水温計が、オーバーヒートまで上昇。

ただ、すぐに収まるので、エア抜きかな?と思いつつ、有料区間が終わってから、念のため、点検です。

すると、4Lばかり水をお飲みになりました。

で、ラジエータキャップを開けたまま、エンジンかけると、車内で噴水状態。

??

どうやら、エンジンをかけると、ラジエータキャップの規定圧を超え、サブタンクから、不凍液を吹いているようです。

サーモが死んで、突沸なのかと思いつつ、しょうがないので、とんぼ返りです。

止まると、オーバーヒート、走ってればOK。状態で、帰宅です。途中で水分補給はしましたが。


結局、帰宅後,調べてみると、ヘッドガスケット抜け。

エンジン組んだときから、サブタンクへ流れる量が多いと思っていましたが、、、、

組んだときから、ヘッドガスケット抜けだったようです。

でも、ヘッドは、面研してますから、たぶん,ヘッドガスケット不良かと。

いつものように液体ガスケットも併用したんですがね。

バックファイヤの音はガスケットが抜けた音だったのかもしれません.

安物ヘッドガスケットにしてやられた感があります.

 
まあ、結局のところ、振り出しに戻る。

5か月休んで、5日稼働して、また休み。

ということで、車検まで時間もないのに、ヘッドガスケット交換をしなければならなくなりました。


というわけで,再びヘッド剥がしです.

さすがに3度目なので,丸1日で御開帳です.

みるところ,4番と5番でガスケットが抜けてました.

原因はわかりませんが,ヘッドの面研でも巣がとり切れていなかったのは確かですが,それだけでしょうか?

ガスケット品質か,0.5mmのオーバーサイズのためか,,,純正のヘッドガスケットが来たら比較してみます.

ついでに,ヘッドにはほとんど水がいっていなかったはずなので,ひずみなどが心配です.

 

 

最善を尽くすために再び、某所で面研して、巣がなくなるまで面研しました。

シリンダは慣らしが終わっていないからか、ちょっと傷が多い気筒がありましたが、なすすべもないので、放置です。

ピストン頂面も4番と5番は燃焼が悪かったからか、比較的きれいです。

念のため、サーモも交換しておきました。

これで、万全なはずですが、私の腕の問題か、ガスケットの問題か、巣の問題か、はっきりわかりませんが、

ちょっと不安になってしまう結果でした。